福島第一の汚染水処理に苦慮している政府は薄めて海洋に放出することを画策していますが、市民団体から2018年6月6日に上記の声明が出され、合わせて海洋放出の問題点整理がなされました。
参考ウエッブサイト
「食品からの内部被ばくを避けるには産地と品目を選ぶこと」、という基本はすでにお伝えしていますが、ネット上でこの件について長らく情報を集め、繰り返し警告を発しているサイトを紹介します。
汚染飲食料品の回避は、一に産地、二に品目 --水産物-- (日本海産が比較的安全)
汚染飲食料品の回避は、一に産地、二に品目 --農産物、その他-- (東日本産、野生鳥獣肉、きのこ類は避ける)
汚染飲食料品の回避は、一に産地、二に品目 --畜産物-- (検出率は水産物より低い)
汚染飲食料品の回避は、一に産地、二に品目 検出下限値はこんなに高い (25Bq/kgくらいを想像したほうがよさそう)
汚染飲食料品の回避は、一に産地、二に品目 加工品の汚染 (干した食品が特に危ない傾向)
摂取する食品の汚染を1.1ベクレル/kg以下にすることは難しいことではない (希望のわくメッセージ)
今 被爆による体調不良を疑ったときはどうするか (デトックスには体を動かして汗をかくこと)
そして最新の警告です (2016年12月15日)
幼い子どもの親達がこんなに死んでいるのに 日本のおやじ達はまだ分からないのか (読者の情報のまとめ)
海の汚染は福島第一から現在でも汚染水が流れ出していることがあり、また生物学的濃縮という原理もありけして予断を許しません。現実に水産物(魚)がどの程度汚染されているかを水産庁のホームページからのぞいてみました。なお測定されている魚種には偏りがあり、たとえばカツオ・マグロなどの回遊魚についてはデータが掲載されていません。またセシウム134,137しか計測されていません。「報告されているなかで」というカッコつきで判断する必要があります。
水産庁:「水産物の放射性物質調査の結果について」
http://www.jfa.maff.go.jp/j/housyanou/kekka.html
出典:水産物の放射性物質調査結果(平成27年度=2015年度)一覧表)
http://www.jfa.maff.go.jp/j/housyanou/other/160401_result.xls
【平成27年4月1日から平成28年3月31日までの調査結果】(エクセル:3,630KB)New
それによりますと調査した検体18801のうちセシウム137が8ベクレル/kg以上(セシウム134との合計で10ベクレル/kg程度以上)のものが1524検体(8.1%)その中で特に高いというレベルの(セシウム137が20ベクレル/kg以上)が505検体(2.7%)あったということです。なおそのうち超高いレベル(セシウム合計が100ベクレル/kg以上)が12検体あったということです。
さてどのような魚種かというと超高い値を示したのはフナ,イワナ,アユ,ウナギ ,ブラウントラウト,ヤマメ,コイですべてが淡水魚です。そのほかにセシウム137が20ベクレル/kg以上を示した淡水魚(水産物)にはモツゴ、マス、ウナギ、ウグイ、ナマズ、エビ、ワカサギなどが在ります。このレベルを示すのはほかに底層魚といって海底近くに生息している魚種(カレイ、ヒラメ、アイナメ、メバル、カスベ、エイ、クロダイ、クロソイ)があがっています。あと中層魚とわれる中では唯一スズキがこのレベルの値を示しています。
まとめますと、現在でもセシウム137で8ベクレル/kg以上(セシウム134との合計で10ベクレルkg以上程度)のレベルを示す水産物が8%程度はあるとという結果が示されています。生息域としては淡水魚が一番危険で次が底層魚となります。そのほかにもちろん地域的な条件があるわけで淡水魚は東北から関東一帯が該当し、底層魚は福島県沖の次に茨城県沖の海域が多く、わずかに岩手、宮城でも検出されることがあります。なお本来はセシウムのほかに骨への蓄積性の高いストロンチウムなどのデータも含めて評価すべきと言えます。
ホワイトフードでは農水省の発表した食品中の放射線量のデータを整理して、野菜の品種別、地域別に放射線量が検出された地点を見やすくマッピングしています。
http://www.whitefood.co.jp/news/foodmap/3068/
これによりますと、2014年度でも山菜などで高い放射線量が検出されていますが、件数として圧倒的に多いのが大豆です。
市場に流通している国産大豆のセシウム含有量に注目する方に参考になる記事です。
http://www.maff.go.jp/j/kanbo/joho/saigai/pdf/youin_daizu_3.pdf
要点を紹介しますと大豆の消費者の立場から言うと
○ 国産大豆は、その約9割が豆腐、煮豆等の食品に加工された上で消費されている。
○ 放射性セシウム濃度は、原料の大豆と比較すると、加工した後の豆腐及び副産物のお からで約1/5に、煮豆で約1/3に低下した。(水含有量が増えたためという意味も大きいが)
○ 放射性セシウム濃度が基準値を超えない大豆を原料として使用すれば、(見かけ上)加工品及び副 産物において放射性セシウム濃度が基準値を超過しない。
という結果もあります。
大豆の生産者(家庭菜園を含む)に対する情報としては
(1)「一般に粘土質の土壌がセシウムを固定する力が高い」ことが知られていますがさらに詳しくは
○ 土壌中の放射性セシウムは、時間の経過とともに、土壌中の粘土鉱物による固定が進 み、作物が吸収しにくくなると考えられるため、粘土含量の少ない砂質土等の固定力の低い 土壌は注意が必要である。
○ また、粘土含量の多い土壌であっても、放射性セシウムの固定力の弱い粘土鉱物の場 合は、作物は土壌の放射性セシウムを吸収しやすくなると考えられる。(固定力の強いもの:バーミキュライトやイライトなど雲母鉱物由来の粘土、固定力の弱い鉱物はカオリナイト、ハロイサイト 、アロフェン、イモゴライト、モンモリロナイトなど雲母鉱物由来でない粘土)
○ こうした固定力の弱い土壌(砂質土、腐植質の多い黒ボク土等)では、吸収抑制対策の 徹底が必要である。
(2)吸収抑制対策としては「交換性カリ含量が 25 mg K2O/100 gになるよう土壌改良し た上で、地域の施肥基準に応じた施肥を行うことを基本とする。」とありさらに「カリ肥料の施用量が多いと、大豆のマグネシウム吸収を阻害する場合があるため、播種前 の酸度矯正の際に苦土石灰を施用し、十分なマグネシウム補給を行う。」という原則が示されています。なお
「○ 大豆による放射性セシウムの吸収は、カリウムと同様、生育初期から盛んに行われていることから、 カリ肥料の施用に当たっては、生育初期から土壌中の交換性カリ含量を高めるため、基肥を基本と し、ケイ酸カリよりも、速効性である硫酸カリまたは塩化カリを利用する。 」という具体策も言及されています。
台湾政府は2015年5月15日から日本の食品の輸入規制強化を実施しました。その理由は日本の食品に産地偽装が多いという調査結果に基づいているようです。これまで、福島、茨城、栃木、群馬、千葉の5県の食品輸入を禁止していましたが、これからは残る42都道府県についても産地証明を要求し、さらに岩手、宮城、東京、愛媛の都県の水産食品には放射能物質の検査を義務付けるなど相当の検査強化を打ち出しています。根本的には日本の食品について産地表示が義務付けられていないこと、製造地が表示されていないことなどの問題がありますが、当面 放射能汚染が比較的大きな県の食品が流通経路を流れて他県の産品であるような装いをこらして流通しているということが危惧されます。
福島第一原発事故からほぼ4年間が経過した現在、農産物の汚染の現状を次の政府発表資料から確認してみました。
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r98520000035y9s-att/2r98520000035yfm_1_1_3_1_26.pdf
福島県(浜通り、中通り)の汚染はまず前提としても周辺の県の汚染がどの程度問題になるか、はっきりしていないことが多いと思います。指標としては比較的基準値以上の汚染がよく報告される「原木シイタケ露地栽培」「コシアブラ」「タケノコ」の3種類を選び、市町村ごとに出荷規制がかかっているところをマーカーで色付けして分布状態をみました。シイタケが赤紫、コシアブラが橙、タケノコが青の色付けになっています。取り上げた県は現在もかなり広域に複数農産物の出荷規制がかかっている県で、福島県のほか栃木県、茨城県、宮城県があげられ、岩手県南部、千葉県北部も含まれてきます。
全体をみると「必ずしも福島県だけが汚染されているわけではなく、北は岩手県南部、南は千葉県北部までに出荷規制域がある」「福島県に近いほど汚染されているとも言えず、当時の風向きや天候の関係で生じたホットスポットといわれる市町村に農産物の出荷規制がかかる程度の汚染が認められる」と言えます。
それではマップを示します。まず福島県。東半分は確かに多い。ただし住民の避難等の結果、その農産物を出荷しようという産業がなかったら検査にも持ち込まれず、結果として出荷停止も出ないものと思われます。
次に栃木県と茨城県。栃木県は北部の福島県寄りに出荷規制が多い。茨城県は風の影響で特定のホットスポットを生じ、必ずしも北部が汚染が多いとは言えないようです。
さらに南側の千葉県。茨城県の南部のホットスポットにつながる地帯に汚染が認められます。
福島県の北側ですが、宮城県は全域、岩手県は南半分に汚染が広がっていると見えます。
福島第1原発の事故からすでに3年9か月が経過しましたが、まだまだ事故前に比べ高い放射線量が水産物から検出されています。多くは数ベクレル/kgのレベルですが時にはそれ以上になります。
水産庁の下記の測定データから傾向をまとめてみます。
http://www.jfa.maff.go.jp/j/housyanou/pdf/141216_result.pdf
1.東日本の淡水魚は全般的に避けたほうが良い。特に湖や沼の魚。
2.近海魚では福島県沖のほか、茨城県沖、宮城県沖も避けた方が良い。
3.魚種としてはカレイ、ヒラメ、メバル、カスベ、アイナメ、マダラ、クロダイなどの低層魚とスズキ(中層魚)に検出されることが多い。
実は主として大気圏内核実験の影響で1960年代にものすごい環境放射能汚染が発生し、それから50年を経てようやくかなり減少(核種によりますが長寿命のもので10分の1から100分の1程度に)してきたところです。そこにチェルノブイリ(1986年)と福島(2011年)という2度の大爆発が加わり、再汚染が発生していると理解すべきでしょう。(出典:日本の環境放射能と放射線)
雨水・ちり中のセシウム137 雨水・ちり中のストロンチウム90
大気浮遊じん中のセシウム137 大気浮遊じん中のストロンチウム90
事故後2年半を経過し、食品汚染もだんだん薄れているのではと考えがちですが、いまだに出荷制限がかけられている品目-地域が多数あります。(2013年8月現在)
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r9852000001a3pj-att/2r9852000001a3rg.pdf
非常に細かく指定されているのでわかりにくく、またこの指定がされていれば大丈夫と考える人もいるかもしれませんが、出荷制限はあくまで100Bq/kg以上の放射線量が検出される場合です。それ以下でも少ないほうが良いことを考えるとこの表に出てくる食品とその付近の産地も避けたほうが良いという考え方も成り立ちます。産地についてはすでに紹介しましたので、頻出する品目だけあげてみます。この中で一番危険なのは【野生獣肉】と【キノコ類】です。また下の表にはいれてありませんが干し柿と玄米にも注意を払う必要があるでしょう。
【キノコ類】原木シイタケ、原木ナメコ、原木クリタケ、野生キノコ、
【山菜類】こしあぶら、ぜんまい、たらのめ、ふき、ふきのとう、わらび、せり、こごみ
【その他植物】タケノコ、茶、
【野生獣肉】イノシシ、クマ、シカ、ヤマドリ
【魚介類】(海洋性)ヒラメ、カレイ、クロダイ、スズキ、メバル、ウナギ、マダラ、
(淡水生)イワナ、ヤマメ、アユ、ウグイ、コイ、フナ
福島第一原発から放射能汚染水が海洋に流出している問題で、改めて水産物の安全性が気になってきます。
福島県を中心に茨城県、宮城県などの沖合の海産物はかなりの種類が出荷制限、ないし自粛がかけられています。また内水面の淡水魚(川、湖など)にもかなりの制限がかかっています。その結果として市場にはそれほど大きく汚染した水産物は流通していないと推定されますが、引き続き注意が必要です。
以前の記事で10ベクレル/kgの食事で健康被害という情報を引用しましたが、その後の追跡調査では1ベクレル/kgをめざす必要がありそうとわかってきたそうです。
この調査をしているNPO法人食品と暮らしの安全基金では埼玉県に申し入れをしています。
さて実際にどのような食品に放射能汚染のおそれが強いかですが、国の基準が100ベクレル/kgですから普通の検査では検出限界以下にまとめられ状況がわからない可能性が高いのですが、精密測定をしている県の情報(神奈川県、宮城県など)を参考にしますと10ベクレル/kgを含め詳細な汚染の状況がわかります。たとえば宮城県については下記のページの<精密検査>の項目から見ることができます。
宮城県の情報 http://www.pref.miyagi.jp/soshiki/syokushin/nuclear-index.html
淡水魚は全般的に高く、海洋魚ではヒラメ、カレイ、スズキなど特定のもの、農産物では茶、シイタケなどのキノコ類、タケノコ、ブルーベリーさらにワラビ、ゼンマイなどの山菜が目につきます。これらは宮城県だけでなく神奈川県でも平成25年度にはいってもいまだに検出されているものがあります。産地と食品の種類に注目しなければいけない状況は続いています。
平成24年1月から12月の厚生労働省まとめによる食品中の放射性物質の測定結果から推定する汚染食品について連絡会事務局で整理しました。 (2013年4月9日現在)
なおデータは
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r9852000001m9tl.html
(平成24年4月1日以降に採取された検体の検査結果)
(平成24年3月31日以前に採取された検体の検査結果)から取得しています。
・試験部分は「可食部」と表示されていることから畜産物や稚魚を除いた魚類は骨や頭部・内臓を除去し、果実は表皮や種子部分を除去した状態で測定していると推定されます。
以下( )カッコ内は内数で流通品の件数を示します。
・すべてのデータのなかからセシウム134が検出されているサンプル18525件(1276件)を取り出して整理しました。検出限界は検査機関ごとに異なるのですが、全体としては数ベクレル/kgと考えて良いと思われます。なお以下の数字はセシウム134の放射線量をさしていますが、このほかに1.3から1.5倍程度のセシウム137が存在していると考えたほうが良いでしょう。
・産地:福島県の産品が検体数としても多いことがあると推定されますが、6410件(34.6%)と最大となっています。以下茨城県2588件、栃木県2452件、宮城県1985件、岩手県1722件、千葉県1304件、群馬県580件、埼玉県445件、北海道203件、青森県202件、神奈川県192件、東京都89件、静岡県69件、長野県64件、秋田県49件、山形県34件、山梨県33件、新潟県24件、などとなっています。
・産品の種別では水産物8660件46.7%(714件)、米1358件 7.3%(8件)、肉・卵549件[うち野生肉が210件](4件)+畜産物(牛肉など)185件(4件)+野生鳥獣肉727件(1件)、野菜類645件(77件)、茶438件(23件)、牛乳・乳幼児食品113件(28件)、穀類3件(2件)などとなっています。
・これをさらに詳細にみると1kgあたり1000ベクレル以上という超高レベルを示すもの48件(5件)はわずかの例外を除くと野生鳥獣肉、野生キノコ、干しキノコ、野草(コシアブラ)、ヤーコン茶などごく限られています。これら特に注意すべき産品の中で都会の日常の食卓にあがりそうなのは、野生キノコ、干しキノコあたりでしょうか。
1kgあたり200ベクレル以上の高レベルに下げると502件あり野生鳥獣肉138件(0件)のほか水産物180件(0件)がはいってきます。大部分は福島県沖167件の海水魚ですが、わずかに淡水魚にもこの値がみられるようになります。野菜・農産物152件(4件)は前述の野生キノコ、干しキノコ、野草(コシアブラ)が多いが、ワラビ、ゼンマイ、タラノメ、ふきのとう、タケノコなどもわずかながらはいってきます。
50ベクレル以上(中レベル)に基準下げると2447件13.2%(44件)あがり、そのうち水産物が1111件45.4%(3件)と主流になってきます。ここでも福島県産が870件(0件)と主要部分を占めます。一方ヤマメ、イワナ、アユ、コイなど内陸の淡水魚も228件(0件)と一角を占めますが、ここでは福島県外の134件(0件)も注意を要します。米も30件(1件)出現するが検査されたものはほとんど流通に出ていないと言えます。
このように検査されたものの範囲では「特定の食品と特定の産地を避ければかなりの確率で放射性物質に汚染された食品を避けること」ができそうにみえます。ここで検討した厚労省のデータでは汚染された食品で流通しているものはごく少ないのですが、「基準以下だからOK」という判断で市場に出ている食品もかなりあると想像できます。そういう可能性を考え、また摂取するすべての食品の放射能汚染を実測するのは不可能ですので、上記の対処が安全と思われます。なお安全を重視すると1kgあたり10ベクレル/kgの食事で健康被害という情報も考慮する必要があります。また高濃度に汚染した食品を摂取するケースとしては、無警戒な個人が野生の食品や家庭菜園の産品を継続的に無検査で飲食することでの被ばくが心配されます。
厚生労働省発表の測定値によりますと、非流通品を含めた場合ですが、次のものに放射性セシウムが検出されることが多い結果になっています。
1.東北・関東における淡水魚(アユ、イワナ、ヤマメなど)
数値的にも高い傾向にあります。
2.銚子沖から青森県八戸沖にかけた海域でとれた海水魚
(北海道で水揚げされたマダラを含む)
3.東北・関東における次の農産物
玄米、小麦、などの穀物
クリ、ブドウ、カキ、ナシ、リンゴなどの果物
シイタケ、マイタケなどのキノコ類
レンコンその他根菜類
4.東北・関東における次の畜産物
イノシシ、ニホンジカなど野生動物の肉
日常の生鮮食品購入では簡単に産地別にリスクを見分けることが一番役立つかと思われます。地域別相対リスクをわかりやすくしたマップが出ています。
http://tabemono.info/report/report_15.html
全国の空間放射線量 (三郷市のデータもあります)
厚生労働省 食品中の放射線量 月別測定結果
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r98520000029qee.html
全国の水道の放射能濃度
新しい規制値は一般食品(乳製品を含む)が100ベクレル/kg、飲料水が10ベクレル/kg、牛乳が50ベクレル/kg、乳児用食品が50ベクレル/kgとなっています。これまでの暫定規制値に比べると5分の1あるいはそれ以下になっています。これは1年間の飲食物による内部被ばくが1ミリシーベルトにおさまるように計算され設定されたものです。もとよりこれ以下なら安全というしきい値はないわけですから、できる限り飲食物からの放射能汚染は避けるように気をつけましょう。具体的には参考書の欄をご覧ください。特に乳幼児・子供は放射能に対する感受性が高いとされています。 また内部被曝を勉強するための 参考資料も掲載してあります。
なお、いくつかの食品には経過措置がとられており、米・牛肉を原料に製造・加工・輸入されたものは9月30日まで、大豆を原料に製造・加工・輸入されたものは12月31日まで旧来の暫定規制値が適用されます。
【問題点】
(1)暫定基準が高すぎたといえます。3月31日までに製造,加工,輸入された食品は4月1日以降も事実上野放しです。
(2)ICRPの基準である被ばく全体を1mSv/年に抑えるには内部被ばくと外部被ばくの合計量をゼロとする必要があります。今回の新基準の設定では食品からの内部被ばくだけで1mSv/年に達する可能性があります。
(3)乳幼児の放射線感受性は成人の数倍とも言われます。2倍とみなした基準は想定が甘いと言わざるをえません。ベルラド放射能安全研究所(ベラルーシ)では「(幼児に限らず)未成年者が口にするすべての食品の基準値を37Bq/kg以下とするべきである」という意見を述べています。
(4)検査体制が整っていません。サンプリング密度が粗すぎて,ホットスポットの産品を細かく検査できていません。本来全量検査の体制を考えるべきです。新基準以上の汚染した食品が流通する可能性がないとは言えません。
厚生労働省:食品中の放射性物質の新たな基準値を設定しました(ダイジェスト版)
http://www.mhlw.go.jp/shinsai_jouhou/dl/leaflet_120329_d.pdf